ダブルアテンション

統一するための古来から大事な教え

僕はダブルアテンションということをとても大事にしています。

できるかぎりこれを意識して過ごすことを心がけています。

 

ダブルアテンションとはなんでしょうか?

ダブルアテンションというのは二方向に注意を向けることをいいます。

 

一般的には物事を行うときには「もっと集中しなさい」といわれます。

それは集中することで感覚が研ぎ澄まされるからです。

 

でもダブルアテンションは二方向に注意を向けよといいます。

こちらは集中するというより意識を「統一する」といった状態のことで、

それによって落ち着いた状態で感覚を研ぎ澄ますことのできる方法といえます。

 

ダブル・アテンションは、セラピー、カウンセリング、医療などの職業、

そしてダンサー、音楽家などの職業。あるいは武術、スポーツなど身体感覚に関わる活動をする人。

さらにいえば大半の職業の人にとって要求される方法といえます。

 

二方向ってどことどこ?

 二方向へ注意を向けるというのは具体的にどういう状態のことでしょうか?

 

たとえば相手の話を聴いているときに、

自分の心の状態、感情に注意を向けている状態。

 

自分の中でも、話しながら自分の声を聴いているとか、

話しながら自分の足の裏の感覚を感じている状態。

 

ぼくは音楽をやっているので音楽の例でいえば、

グループで演奏するときには、自分の音を出しながら

それと同時にメンバーの音も聴いている。

再びそれに自分が反応して演奏に反映されていく。

つまり自分のしていることと相手のしていることの

双方向に注意が向いている状態。

 

これらはみなダブル・アテンションです。

どことどこに向けているかというのはこのようにケースバイケースです。

 

相手だけでなく、自分だけでなく、一つの感覚だけでなく、

インタラクティブに注意が向かっていることで、より高い意識状態になります。

 

ダブルアテンションは古くからある教え

ダブルアテンションというのは新しいものではなく、

じつは古来から、大事な教えとして各地に存在していた方法でした。

 

それをグルジェフという19世紀の神秘思想家が各地をめぐって集め、

そのエッセンスをまとめてダブルアテンションと名付けたのです。

 

神秘家のグルジェフというと聞きなれない怪しい感じがしますが、

じつは最近ではあたりまえに使われている「ワークショップ」という言葉は、

グルジェフがやっていた「グルジェフワーク」というのがその由来なのです。

 

グルジェフは ダブルアテンションについてこういっています。

 

「われわれが何かを見ているとき、意識は見ている対象に奪われており、

見ている自分を忘れている。対象物に自己を同一化した状態といえる」

 

「見ている対象物とそれを見ている自分とを同時に意識できるように

注意力を双方向へ二分する方法がダブルアテンションである」

 

 

いまでもグルジェフのスクールというものがあり、

ぼくもしばらくそこに参加していたことがあります。

そこで、「ダブルアテンションはどういう効果があるのか」

と質問しました。

 

「注意が触媒となる」というのがその答えでした。

注意を向けていることだけで触媒のように働き、

ものごとに変化が起こっていく、というものでした。

 

グルジェフはスーフィズム(イスラーム神秘主義)のことも探求していたのですが、

そのスーフィーの教えにこんな諺があります。

 

「一杯のお茶をちゃんと入れることができれば、不可能なことはない 」

 

お茶をいれて飲むまでの一つ一つのしぐさを丁寧に感じ、

自覚しながらおこっていくことが出来れば、

それは何事にも応用できる意識状態を得ることが出来るということかもしれません。

 

このようにダブルアテンションはやることはシンプルですが奥深い世界といえます。

 

 

アウェアネスアート®研究所 主宰  新海正彦